一般内科・その他の医療

一般外来診療

以前は病気の二次予防(病気の早期発見や早期治療)に重点が置かれていました。 現在では、それに加えて生活習慣の改善を中心にした一次予防(健康増進や発病予防に重点を置いた対策)を推進するために、新たに導入された概念が生活習慣病と言えます。

例えば、生活習慣病の「代表格」である糖尿病患者の数は、わが国では1,000万人と推計されています。さらに予備群を含めると2,000万人ともいわれています。 また、高血圧、脂質異常症といった疾患を有する人々も膨大な数に上ると推定されます。 中高年の多くの方が何らかの生活習慣病をもっていて、それが将来重大な健康障害になる可能性があります。これらの疾患について、早期発見と早期治療が急がれています。

生活習慣病に該当する主な病気としては、高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、高尿酸血症、肥満症・メタボリックシンドローム、脂肪肝、慢性閉塞性肺疾患、肺がん、大腸がん、歯周病などが挙げられます。

当院では薬物療法・食事療法・運動療法・などが主体となる高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病、高尿酸血症、メタボリックシンドローム、脂肪肝を中心に患者さんと真摯に向き合って診療を行っていきます。

【画像】健康診断

高血圧症

高血圧は、喫煙と並んで、日本人の生活習慣病死亡に最も大きく影響する要因です。 もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されています。 高血圧自体は、過去数十年で大きく減少しましたが、今なお20歳以上の国民のおよそ二人に一人は高血圧です。

高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧とがあります。 二次性高血圧は、甲状腺や副腎などの病気があり、それが原因で高血圧を起こすものをいいます。睡眠時無呼吸症候群でも二次性高血圧を合併します。 それに対し、日本人の大部分の高血圧は、それらの原因のない、本態性高血圧です。 本態性高血圧は、食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられています。なかでも、日本人にとって重要なのは、食塩の過剰摂取です。

日本高血圧学会の高血圧診断基準は、診察室での収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合を高血圧と診断します。 また自宅で測る家庭血圧の場合は、収縮期血圧(最大血圧)が135mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が85mmHg以上の場合を高血圧と診断します。

成人における血圧値の分類(mmHg)

分類診察室血圧家庭内血圧
収縮期血圧      拡張期血圧収縮期血圧      拡張期血圧
正常血圧<120  かつ  <80<115  かつ  <75
正常高値血圧120‐129  かつ  <80115~124  かつ  <75
高値血圧130‐139  かつ/または  80-90   125~134  かつ ⁄ または  75~84
Ⅰ度高血圧140‐159  かつ/または  90-99135~144  かつ ⁄ または  85~89  
Ⅱ度高血圧160‐179  かつ/または  100-109145~159  かつ ⁄ または   90~99
Ⅲ度高血圧≧180  かつ ⁄ または  ≧110≧160  かつ ⁄ または  ≧100
(孤立性)収縮期高血圧≧140  かつ  <90≧135  かつ  <85

高血圧症は何も症状がないことが多いですが、血圧によっては、一部の人で頭痛、めまい・ふらつき、動悸などが現れることがあります。また、脳卒中(くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、一過性脳虚血発作)、心不全、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、腎障害などといった命に関わる病気を合併しやすくなるため治療が必要となります。

脂質異常症

脂質異常症は今まで高脂血症と呼ばれており、血液中のコレステロール値が異常になる病気です。病気の要因には体質や生活習慣など多くのことが考えられます。 脂質異常症は血液検査を行って診断し、食事療法・運動療法・薬物療法を用いて治療します。

今までは高脂血症として、総コレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪のいずれかが高いか、HDLコレステロールが低いことがその診断基準とされていましたが、総コレステロールが高い人のなかには、悪玉LDLコレステロールが正常で、善玉のHDLコレステロールのみが高い場合も少なからず含まれていること、そのHDLコレステロールが低い場合を「高脂血症」と呼ぶのは適当でないことなどから、2007年4月に日本動脈硬化学会がガイドラインの改訂を行い、診断名を「高脂血症」から「脂質異常症」に変更しました。

LDLコレステロール

  • 140㎎/dL以上…高LDLコレステロール血症
  • 120~139㎎/dL以上…境界域高LDLコレステロール血症

HDLコレステロール

  • 40㎎/dL未満…低HDLコレステロール血症

トリグリセライド

  • 150㎎/dL以上(空腹時採血)…高トリグリセライド血症
  • 175㎎/dL以上(随時採血)…高トリグリセライド血症

Non‐HDLコレステロール

  • 170㎎/dL以上…高Non‐HDLコレステロール血症
  • 150~169㎎/dL以上…境界域高Non‐HDLコレステロール血症

脂質異常症そのものが症状を起こすことはまれですが、脂質異常症によって動脈硬化が早められたりすることで様々な病気が起りやすくなります。 動脈硬化が原因でなる病気としては、虚血性心疾患、脳卒中、末梢動脈疾患などがあります。脂質異常症そのものが原因で起こる症状としては、黄色腫(腱黄色腫、眼瞼黄色腫)(コレステロールを多く含む組織が黄色いかたまりを作った状態)、胆石などがあげられます。

【画像】悪玉子レストレールの目標値

糖尿病とは

糖尿病は、血糖値を下げるインスリンというホルモンが不足したり(インスリン分泌不全)働きが悪くなる(インスリン抵抗性)ことで、血糖値を正常に保てず高血糖の状態になる病気です。 糖尿病は1型と2型に分けることができ、ほとんどは2型と呼ばれるタイプで、肥満や生活習慣と深い関わりがあります。 一方で、1型は感染症や免疫異常などをきっかけに膵臓が障害され適切にインスリンを分泌することができなくなり高血糖状態となります。 糖尿病患者さんの数はその予備軍を合わせると、日本は2000万人を超え、40歳以上で8人に1人と言われています。

糖尿病の初回検査診断基準

1.早朝空腹時血糖126mg/dL以上
2.食後2時間血糖200mg/dL以上
3.随時血糖200mg/dL以上
4.HbA1c6.5%以上

1~3のいずれかと4が確認されると、糖尿病と診断

糖尿病の初期の段階では自覚症状が全くないことも多く、症状が現れるとしても非常にゆっくり少しずつ出現するため、定期健診などの検査で初めて指摘されることも多いです。 主な症状としては、口渇・多飲多尿・倦怠感・体重減少・目がかすむ・皮膚が乾燥して痒い・傷が治りにくいなどは糖尿病で見られる症状ですので、これらの症状がある場合には早めに検査を受けて調べることをおすすめします。

糖尿病では、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症と呼ばれる3つの合併症があります。糖尿病性神経障害では、手足のしびれや感覚の低下が生じます。
足趾壊疽を合併すると足の切断が必要になることもあります。
糖尿病性網膜症では視力が低下します。そのまま放置すると失明につながります。視力低下を自覚しないままいきなり失明する人もいます。
糖尿病性腎症では腎臓の機能が徐々に低下します。糖尿病性腎症を含む腎臓病の初期は自覚症状に乏しく、むくみ等の症状が出現したころには、腎機能障害が進行していることがあり、さらに腎機能障害が進行すると腎代替療法(血液透析など)が必要となります。血液透析は週3回の通院が生涯にわたり必要で、生活に大きな影響を及ぼします。

糖尿病の治療は、運動療法・食事療法・薬物療法で、血糖値上昇を予防します。 薬物療法においては、内服薬の服用やインスリン皮下注射(毎食事ごとに打つもの、1日に1回打つもの、1週間に1回打つものなど)があります。 また、高血圧、脂質異常症などの合併も多く、動脈硬化も進行していることから、心臓病、脳卒中を含む合併症のリスクも高くなり全身疾患の管理・治療が必要となります。

高齢者では血糖のコントロールが悪いと、認知症・肺炎や尿路感染症などの感染症・サルコペニアやフレイル・うつ・骨粗鬆症・骨折などの病気にかかりやすくなることが知られています。

【画像】血糖コントロールの目標値

高尿酸血症とは

血液中の尿酸値が高いことを指します。 現行の基準では血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超えると高尿酸血症と診断されます。男性に多く見られ、30歳以上の男性では30%ほどが高尿酸血症と言われています。 女性には少なく、数%程度と言われていますが、閉経後には高尿酸血症のリスクが高まります。

高尿酸血症そのものによる症状は出ませんが、痛風、慢性腎臓病、尿路結石、心筋梗塞などの危険が高まるというデータがあります。高尿酸血症の診断は採血検査で行います。

痛風などの症状が出ていない時点で高尿酸血症を治療すべきかどうかについて十分なデータはありませんが、9.0mg/dl以上の場合には飲み薬を使用することが多いです。 8.0-9.0mg/dlくらいの場合でも、尿路結石や腎臓病、高血圧などがあれば飲み薬を使用することが多いです。また、いずれにしても高尿酸血症の方はアルコール飲料、プリン体、糖分やカロリーの過剰摂取を避け、適度な運動をすることが望ましいです。

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